HDD(ハードディスクドライブ)とは:構造・動作原理

HDD 構造 動作原理

HDD(ハードディスクドライブ)とは

HDD(Hard Disk Drive)は「データを 磁気ディスク(プラッタ)に記録・保存する、記憶装置の一種」です。

  • 大容量
  • 低コスト
  • 長期保存が可能

というメリットから、コンピュータの ストレージ(補助記憶装置)として広く利用されています。

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HDDの構造と動作原理

HDD 構造 プラッタ

HDDは、データを記録する磁気ディスク(プラッタ)と、それらを読み取る磁気ヘッドやモーターで構成されています。

  • プラッタ(Platter)
  • データを磁気的に記録する円盤。ガラスやアルミニウム製で、磁性体がコーティングされている。複数枚積み重なることで、記憶容量を増加させている。

  • スピンドルモーター(Spindle Motor)
  • プラッタを高速回転させるモーター。一般的に5,400rpmや7,200rpmで回転する。

  • アクチュエーター(Actuator)
  • 磁気ヘッドを動かすための機構。ボイスコイルモーター(VCM)という部品が使われ、電流の制御でヘッドの位置を調整する。

  • 磁気ヘッド(Magnetic Head)
  • データをプラッタの磁気層に記録・読み取りする装置。プラッタの両面にデータが記録されるため、各面に1つずつ磁気ヘッドが配置される。プラッタが複数枚ある場合、その分の磁気ヘッドが必要。

  • アーム(Arm)
  • 磁気ヘッドを支える細長い部品。アクチュエーターと連動し、プラッタ上のデータ位置に移動する。

プラッタと磁気ヘッド部を拡大すると以下のような構造になっています。

磁気ヘッド 構造

プラッタは両面にデータが記録されており、それぞれの面に対応する磁気ヘッドが存在します。さらに、プラッタの枚数に応じた磁気ヘッドが必要になります。プラッタと磁気ヘッドの間隔は0.00001mmとされており、非常に精密なストレージです。

プラッタの中央にはスピンドルモーターが配置されており、データの読み書きを行う際には、スピンドルモーターがプラッタを回転させ、アームが移動することで、磁気ヘッドが目的のアドレスにアクセスします。

磁気ヘッドがプラッタに読み書きする原理を、さらに詳しく見ていきましょう。

磁気ヘッドは「電磁誘導の原理」を利用して、HDDのプラッタ(磁気ディスク)にデータを読み書きします。

磁気ヘッドには書き込み用の小さな電磁コイル、読み込み用の磁気抵抗素子(MRセンサー、磁場の変化によって電気抵抗が変わる性質を利用したセンサー)が取り付けられています。

  • 書き込み(記録)
  • 磁気ヘッドには小さな電磁コイルがあり、電流を流すと磁場が発生します。この磁場を使って、プラッタの表面にある 磁性体の粒子(磁区)の向きを変えることで、データ(0と1)を記録します。

  • 読み込み(再生)
  • 磁気ヘッドがプラッタ上の磁区の変化を検知します。プラッタが回転すると、磁気ヘッドの近くを通る磁区の向きが変わり、その磁場の変化が磁気抵抗素子(MRセンサー)に影響を与えます。MRセンサーの電気抵抗が変化し、その変化を信号として読み取り、0と1のデジタルデータに変換します。

実際の磁気ヘッドはより精密で複雑です。例えば、読み取りヘッドは隣接するセクターの影響を受けないよう、磁気シールドが設けられています。

トラック・セクタ・クラスタ

HDD トラック セクタ クラスタ

HDDの記憶領域には「トラック・セクタ・クラスタ」が存在します。

  • トラック(Track)
  • HDDのプラッタ上に同心円状に配置されたデータ記録領域。円形とすることでヘッドが無駄なく移動して読み書きができる。

  • セクタ(Sector)
  • HDDがデータを読み書きする最小単位。

  • クラスタ(Cluster)
  • 複数のセクタをまとめたもの。HDDのファイルシステムは、1つのセクタ単位でデータを管理すると非効率になるため、複数のセクタをまとめた「クラスタ」を単位にしてファイルを管理する。

これらの階層構造を活用することで、HDDは大容量データを効率的かつ高速に処理できるようになります。特に、クラスター単位でデータを管理することで、ファイルの読み書きの効率が向上します。

定記録密度方式

HDD 定記録密度方式

現在のHDDでは「中心から外周までセクタの面積が均一な定記録密度方式」が採用されています。

従来のHDDでは、内周から外周まで同じ数のセクタを割り当てて記録領域を管理していました。この方法では、外周の面積が大きいにもかかわらず、セクタ数は同じなので、内周に比べて外周の記録密度が低くなってしまいます。

そのため、現在のHDDでは、中心から外周にかけてセクタの面積を均等にし、記録密度を一定に保つことで、HDDの容量を効率的に活用できるようになっています。

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