CPUの構造:コア・ダイ・パッケージとは

CPUの構造
CPUは大きく「ダイ(Die)とパッケージ(Package)」から構成されます。
ダイは「シリコン基板上に形成された半導体チップ(集積回路,IC)」です。シリコン基板と呼ばれる半導体の材料の上に、超微細なトランジスタが無数に形成され、様々な計算や制御を行います。
半導体チップを動作させるためには、外部からの電源供給や信号のやり取りが不可欠です。これらを実現する役割を担うのが「パッケージ」です。シリコン基板(ダイ)と外部を金属配線(例:金線や銅線など)やピン、ボールなどを介して接続しています。
ダイには、
- コア:計算処理を行う
- キャッシュ:データの一時保管
- GPU:画像や映像の処理
- メモリコントローラー:RAMへのデータアクセスを管理
など、様々な役割を持つ回路が、1つの小さなチップに形成されています。
ダイは薄く小さなシリコン基板のため、脆く衝撃に弱いです。そのため、実際のダイは樹脂によって封止され、衝撃や湿気などの外部環境から保護されています。
CPU内部(ダイ)の構成
CPU内部のダイには、様々な役割を持つ回路が形成されています。
ダイに搭載される回路の種類や配置は、CPUの世代や企業によって異なります。ここでは、代表的な回路の役割を解説します。
コアの役割
コアとは「CPU内にある処理ユニット」で、命令・データを処理する機能を持ちます。1つのコアが1つのタスクを実行できるため、コア数が多いほど同時に複数の処理が可能です。
コアとは「CPU内にある処理ユニット」で、命令・データを処理する機能を持ちます。1つのコアが1つのタスクを実行できるため、コア数が多いほど同時に複数の処理が可能です。
コアは数億~数十億のトランジスタから構成されています。1つのトランジスタはウイルスよりも小さく、非常に微細な回路が無数に形成されています。
同じコアサイズであれば、回路が微細なほど多くのトランジスタを形成することができるため、CPUの性能が向上します。
コア内部のトランジスタ群にはそれぞれ役割があり、ユニットと呼ばれます。コア内には以下のような様々なユニットがあります。
- 命令実行ユニット
- 命令デコーダ
- レジスタ
グラフィックプロセッサー(GPU)
GPUとは「グラフィックス・プロセッシング・ユニット(Graphic Processing Unit)の略で、画像や動画処理を行うための専用プロセッサ(演算装置)」です。
GPUとは「グラフィックス・プロセッシング・ユニット(Graphic Processing Unit)の略で、画像や動画処理を行うための専用プロセッサ(演算装置)」です。
GPUは十数~数千個のコアで構成されています。1つ1つのコアは単純な命令・計算を処理するよう設計されており、大量のデータを多数のコアで並列処理することが得意なプロセッサーです。この特徴から、GPUは大量の単純計算が必要な画像・映像処理・AIに適しています。
GPUには大きく2種類あります。
- 内蔵GPU:GPU内の内蔵されたGPU
- 単体GPU:CPUとは別パーツとして存在するGPU
内蔵GPUはウェブ閲覧・動画視聴など日常的な作業に適しています。単体GPUは数百~数千のコア数を有し、より高性能な処理が可能で、3Dゲームなどに適しています。
キャッシュメモリ
キャッシュメモリとは「CPU内部にある高速メモリ」です。頻繁に使用されるデータや命令を保持する役割があります。キャッシュとも呼ばれます。CPUがメインメモリにアクセスする回数を減らし、パフォーマンスを向上させます。
キャッシュメモリとは「CPU内部にある高速メモリ」です。頻繁に使用されるデータや命令を保持する役割があります。キャッシュとも呼ばれます。CPUがメインメモリにアクセスする回数を減らし、パフォーマンスを向上させます。
CPUはデータを処理する際、通常メインメモリ(RAM)からデータを読み込み、処理後に再びメインメモリへ書き込みます。しかし、メインメモリはCPUよりも動作が遅いため、処理速度が低下してしまいます(メモリボトルネック)。
そこで、CPU内部に搭載された高速なメモリである「キャッシュ」に、よく使うデータを一時的に保存します。CPUはキャッシュからデータを直接読み書きすることで、処理時間を短縮することができるのです。
メモリコントローラー
メモリコントローラーは「CPUがメモリ(RAM)にデータを読み書きする際の処理を制御する回路」です。
メモリコントローラーは「CPUがメモリ(RAM)にデータを読み書きする際の処理を制御する回路」です。
メモリコントローラーは例えば、
- メモリへのアクセス管理
- メモリの種類と速度の調整
- エラー検出と訂正(ECC機能)
- メモリアクセスの最適化
CPUがメモリからデータを読み書きする際の処理を制御
メモリの種類や動作速度に合わせて通信を最適化
データのエラーを検出・修正して正確性を維持
複数のデータ要求を効率的に処理し遅延を最小化
などの重要な役割を担っています。
例えば、CPUはデータを処理する際、必要なデータをメモリから取り出し、処理後に結果をメモリに保存します。しかし、メモリ内には膨大なデータが格納されており、どこに必要なデータが保存されているかを正確に指示しなければなりません。これを管理するのがメモリコントローラーです。
具体的には、データが保存されている場所(メモリアドレス)を指定し、データを取り出す「読み込み(Read)」や、データを保存する「書き込み(Write)」といった動作を効率的に行えるように制御します。