メインメモリ(RAM)の種類:DDR4とDDR5の違い

メモリ(RAM)の種類
RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)は、コンピュータの動作に必要なデータを一時的に保存するための記憶装置です。メインメモリ(RAM)には以下のような種類があります。
種類 | 用途 |
---|---|
DDR SDRAM | PC、サーバーのメインメモリ |
LPDDR | スマホ、タブレット、薄型ノートPC |
GDDR | グラフィックスカード(GPU) |
HBM | 高性能コンピューティング(AI、HPC、GPU) |
デスクトップPCのメインメモリ(RAM)として、現在主流なものが「DDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)」です。
DDR SDRAMは、一般に「DDR」とも呼ばれます。
- DDR3
- DDR4
- DDR5
などの種類(バージョン)があります。DDR5が2025年現在の最新規格です。
SDRAMとは
現在、メインメモリとして主流のDDRは、SDRAMの改良版です。まずはSDRAMについて学びましょう。
SDRAM(Synchronous Dynamic Random-Access Memory)は、システムのクロック信号に同期して動作するDRAMです。コンピュータのメインメモリとして広く使用されているメモリ技術です。シンクロナスDRAMとも呼びます。
SDRAMはその名の通り、以下のような特徴があります。
- 同期動作 (Synchronous)
- ダイナミックメモリ (Dynamic RAM)
- ランダムアクセス (Random-Access)
システムのクロック信号に同期して動作します。データの読み書きのタイミングが正確に制御され、効率的なデータ転送が可能になります。さらに、クロック信号に同期することで、CPUや他のハードウェアとの連携がスムーズになります。
DRAMは、データを保持するために定期的なリフレッシュ(再書き込み)が必要なメモリです。
任意のメモリセルに直接アクセスできます。データの読み書きが高速に行えます。
SDRAMの種類
SDRAMにはSDR SDRAMとDDR SDRAMの2種類があります。SDRとDDRの主な違いはデータ転送のタイミングです。
- SDR SDRAM(Single Data Rate SDRAM)
- DDR SDRAM(Dingle Data Rate SDRAM)
1クロックサイクルごとに1回のデータ転送を行う。データ転送がクロックの立ち上がりエッジでのみ発生する。
1クロックサイクルごとに2回のデータ転送を行う。データ転送がクロックの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方で発生する。
DDRはSDRに比べて、理論上2倍のデータ転送速度を実現しています。そのため、現在のメインメモリの主流はDDRです。
DDRの種類:DDR4とDDR5の違い
DDR SDRAMは世代を重ねて進化しており、以下のような種類があります。
世代 | データ転送速度(MT/s) | 動作電圧 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
DDR | 200~400 | 2.5V | 初代DDR。SDR SDRAMに比べて2倍のデータ転送速度を実現。 |
DDR2 | 400~1066 | 1.8V | DDR1に比べて高速化され、消費電力が低減。 |
DDR3 | 800~2133 | 1.5V | DDR2に比べてさらに高速化され、省電力性能が向上。 |
DDR4 | 1600~3200 | 1.2V | 2010年代後半から主流。DDR3に比べて大幅な高速化と省電力化を実現。 |
DDR5 | 3200~6400 | 1.1V | 2020年代から普及が進む最新世代。DDR4に比べてさらに高速化と大容量化を実現。 |
DDR1からDDR5まで、各世代が登場するたびにデータ転送速度が向上し、動作電圧が低下しています。すなわち、メモリの性能が向上し、省電力化が進んでいます。
動作電圧の低下は、半導体製造プロセスの進化(微細化)によってもたらされています。トランジスタのサイズが小さくなることで、スイッチングに必要な電圧が低下します。また、メモリセルや周辺回路の設計最適化による電力効率の向上も要因の1つです。
データ転送速度の向上は、
- プリフェッチ技術の進化
- 信号伝達技術の向上
- クロック周波数の向上
- インターフェースの改良
1クロックあたりのデータ転送量を増加
差動信号やエラー修正機能による高品質な信号伝送
1秒あたりのデータ転送回数を増加
メモリとプロセッサ間のボトルネック解消
など、多角的な技術進化によって実現されています。
表から分かるように、DDR5は最新のメモリ規格で、DDR4に比べてデータ転送速度が2倍以上に高速化され、動作電圧も1.1Vとさらに省電力化されています。大容量(最大128GB)やエラー修正機能(オンディECC)を備え、より高性能なシステムに適しています。その一方で、DDR4はコストパフォーマンスに優れており、2020年代現在でも依然として主流の規格です。
なお、DDR1からDDR5までの各世代は、物理的な端子形状が異なるため、互換性がありません。